2022 8/11

 

 

 

 

      「 空が泣き、鳥が静み、森の葉々が輝き、大地が微笑む 」

 

 

          大きな作品です。絵の大きさには意味があります。

 

        長編小説と短編小説と同じです。

    作家の意図によって、必要とする原稿枚数が違ってきます。

 

         絵も、描こうとする世界の内容から、自然にその大きさが決まります。  

 

   3色のバージョンがあります。舟は、みかさんがよく描く対象です。

 

          舟の中には、炭化したような木々があり、鳥が舞っています。

           鳥も爽やかな感じのものではありません。

 

  舟の周りには、水滴が垂れています。空が泣いた涙、ということは雨粒です。

       雨、涙の水の中に浮かんでいる舟です。

 

     シンプルな構成ですが、色々な思いを感じさせられます。

 

     みかさんの作品のタイトルとしては一番長いものでしょう。

                      少し変わった言葉遣いです。

 

      タイトルから考えると動きのない、死のような世界から、

        再生の希望を託しているようにも思えます。

 

       タイトルも、作品を理解する上で重要です。

        全て作品と関連があるとは言えませんが

       作者の思いを想像できる唯一の手がかりです。

 

     舟は常に留まらずに水とともに流れゆく、人生の象徴でしょうか。

 

         方丈記のように。

 

       「 ゆく川のながれはたえずして、しかももとの水にあらず 」

 

        舟の中の絵は、佐々木マキを思わせますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 波 の 戯 れ 」

 

    

      これも大きなものです。絵も対象も。堂々たる作品です。

 

       フレームも海、貝殻をイメージした立派なものです。

 

   鯨の中に見える船は、ギリシャ、コリントと言った言葉を想起させます。

              尾の中には、マグロのような大きな魚の顔が見えます。

 

  絵だけでなく、適切なフレームと組み合わせることによって、作品は完成します。

       どの世界も、自分一人だけでは生きられません。

 

         絵が100%だと思っていると大間違いです。 

                                シテとワキ

 

  勝手に主従のように思い込んでいても、実際にはそんな関係ではないのです。

   触媒という言葉があります。化学用語ですが、人間社会にも通じます。

 

   色即是空のように、世の中は関連の世界として在るということでしょうか。



 

 

 

 

 

 

 

 

            「 マグノリア ロマンス 」

 

 

  恐竜をモチーフとして描いた作品は沢山あります。中でも一番のお気に入りです。

    一目見て、すぐ手に入れました。大きな作品です。

 

      magnolia はモクレン、泰山木、の仲間と辞書にはあります。

 

    ここでは、ちぎられた色紙が、葉、花びらのように表現されています。

   マグノリアは春、初夏の花木です。でも、恐竜 T-rex のまわりを流れているのは

     落ち葉のように見え、なんとなく秋を思ってしまいます。

 

        後ろを振り返って不安気に見つめる目は、

   恐竜の滅亡の時代に至る予感を感じさせる、と言ったら言い過ぎでしょうか。

 

  ディズニー映画の「ファンタジア」では、ストラヴィンスキーの「春の祭典

  を背景音楽として、恐竜時代を描いています。中でも、ブロントザウルスが

   長い首を持ち上げて、後ろを不審気に眺める姿が印象に残っています。

        同じような雰囲気を感じてしまいます。

 

   T-rex は暴君龍と呼ばれていますが、この絵からは儚さが感じられます。

      暴力によって自らの弱さを隠すことはできません。

 

    家の中では威張っている父親が、自分の内実の弱さを隠せないように。

  

    みかさんの表現する、動物の目は独特です。この恐竜に限りませんが。

       見ていると目の中に引き込まれそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 詩 節 」

 

 

             3頭の親子のロバが歩いています。

      対称的で、上下の世界に分かれたクルミの中です。

 

              上下の世界は違います。

 

    夏と冬、陽光と夕暮れ、あるいは表と裏の世界。夢と現かもしれません。 

 

      上の世界では、木々の葉も茂っていて、鳥も楽しげに飛んでいます。

   下の世界では木は枯れ果て、地面もでこぼことして、霜柱のように見えます。

      鳥の姿も見えません。

        ロバもよく見ると、同じではありません。

            3頭目の子ロバは、

       下の絵では、逆らっているように、いなないています。

 

     自分だけは周りとは一緒にならないぞと言っているのでしょうか。

 

     スペインのロバの話というと、フアン・ラモーン・ヒメネス

        「プラテーロと私」を思い出します。

      優しくて、ゆったりした話だったと記憶しています。

 

      ロバの親は父親でしょうか、それとも母親でしょうか。

 

           私はロバの雌雄を弁じませんが、

    自分が父親であることから推し量ると、どうも母親のように思います。

       子供を引き連れて歩くのは、やはり母親でしょう。

         そうでなくては、子供達も安心できません。

 

         3頭とも目を閉じて、穏やかな表情です。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                     「 詩 人 」

 

             

    羊の頭骨の中の世界、親子のオオカミが歩く荒涼とした自然です。

        遠くの山並と、空を飛ぶ鷲のような鳥たち。

 

      一角獣の頭骨を読む、夢読みの世界。

 

      「   世界の終わり と ハードボイルド ワンダーランド  」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 音  楽  隊 」

 

         

              ブレーメンの音楽隊。

 

           ピカソか、はたまた、赤塚不二夫

 

     以前、ピカソの展覧会に行った時、そばにいた妻に、赤塚不二夫だねと言ったら

    その後、どれを見ても赤塚不二夫にしか見えなくなったと怒られました。

 

 

 

 

 

 

                                          

           

                                      「 星 」

 

 

            本当に小さな作品です。

 

          これもブレーメンの音楽隊ですね。

 

       力持ちのウサギの肩にはワニが。星を取ろうとしています。

     でも、帽子にみんなを乗せている、みかさんが一番力持ちです。

 

          ワニも好きなモチーフの一つですね。