「むらかみ みか」 さんは スペイン グラナダ在住です。
もう、30年近くになるでしょうか。
「 コケコッコ 」
スペイン語では、ココロコのような表記ですね。
色々と可愛くて、面白いものが見られる、小品の一つです。
みかさんの帽子の上で、親鳥が雛を孵しています。
卵の殻を破り、元気な雛の可愛い鳴き声が響き渡っています。
sing a song of six pence a pocket full of rye 🎵
「 つぶやき 」 のシリーズ
驚くことに、段ボール紙にプリントしてあります。
これも、みかさんの鳥の一つです。段ボール紙もなかなか優れたものです。
このシリーズの鳥には、珍しく、長い脚があります。
この絵柄で飛翔感を感じさせるには脚が必要なのでしょう。
羽根の形も違います。いつもよりも大きく長いものです。
静的な鳥ではなく、動きのある表現です。
みかさんは、やはり、鳥の飛翔に限らず、動き、躍動感が好きなのでしょう。
作家ですから、もちろん自然と適切に描かれるわけです。
みかさんは、頭で意図的に表現することはないように思います。
自分の中から、考えずに出てきたものを描いているように見えます。
亀の絵では、逆に、飛び立った後の、脚しか描かれていません。
飛ぶ鳥、脚を残さずというわけには行きませんでしたね。
「 ペルセウス座流星群 」
マグロのような大きな回遊魚です。
背景のエンボスには、水の流れと泳いでいる亀も表現されています。
亀とマグロは何だか変ですね。泳ぐスピードが違います。
ペルセウスはギリシャ神話の登場人物で、ゼウスの子供です。
エチオピアの王女アンドロメダを妻としています。
アンドロメダ座も大星雲で有名ですが、ペルセウス座の隣にあります。
神話は、ペルセウスがゴルゴン三姉妹の一人、メデューサの首を討ち取り、
危機に陥ったアンドロメダ王女を助け、
故郷へ戻って王になる顛末が語られています。
髪の毛が蛇になっているメデューサは有名ですが、
その顔を見たものは石になってしまうことを利用して、
ペルセウスは敵を倒していきます。
何だか、水戸黄門の印籠のようですね。この顔が見えぬか。
神話に出てくる、アンドロメダの母親カシオペア、怪物くじら、天馬ペガスス、
みんな星座になっています。
マグロのような魚の中には、銀河の流れが見られます。
影のような自分の分身と泳いでいます。
「 セレナーデ 」
楽器のシリーズの一つ。
三日月が出ています。秋の夜でしょうか。
金管のどちらかと言えば派手なトランペットですが、落ち着いた
表現の絵柄になっています。
「 十 五 夜 」
月は西洋では人を狂わせるものです。狼男もそうですが、lunaticという言葉は
良い意味では使われません。
この「十五夜」を見て、すぐにlunaticという言葉が頭に浮かびました。
アリスの中に、3月ウサギという、少しおかしな登場人物がいます。
3月のウサギのように気が狂っている、という
英語の慣用表現からできているようですが、
ここにいる胡散臭いウサギたちも、3月ウサギの仲間です。
「 満月の夜のあと 」
これも同じウサギたちの別バージョンです。
「 時間と風 」
小さな作品です。書棚の前には女性が。
「セミ」と同じで、最初は男性かと思いましたが、長い髪が横に垂れています。
時間と風、というタイトルの本を持っています。
みかさんの描くいつもの女性です。鼻筋が通って、面長で目を閉じています。
瞑想しているのか、過去の記憶をたどっているのか。
あまり何も考えていないようにも見えます。
背景には沢山の小さな白点が。小雪がちらついているようです。
「 流れ星 」
地球です。
狼、あるいは家畜化された犬がエンボスされて、地球の周りを飛び跳ねています。
「 山 の 足 跡 」
みかさんは、素描の作品もいくつか描いています。
大きな葉と、それに伴う影。山裾に見える二頭の山羊。
山羊というよりも、角を見ると
アンテロープ、インパラのようなものでしょうか。
ドリームキャッチャーのシリーズと同じ円形の台紙です。
二頭並んでいますが、どちらも手前に黒い影のような形があり、
後方にはそこから時間のずれがある、動きを見せた姿を描いています。
手前の影のような山羊は実体があるものには見えません。
後ろの動きを伴う山羊の絵も同じです。
現実的ではなく、過去の動きを辿っているようです。
足跡自体は確かな実体によって作られたものではありますが、
それを見ている現在では、すでに存在しないものの記憶を見ているだけです。
形を持った残像。
足跡は実体の一部とも言えないものですが、時間がたてば実体を代表するものに
なるのは、足跡(そくせき)という言葉が象徴しているようです。
本来の凸が凹として表現されていて、陰陽とも言える、実体を持たない実体。
山で、動物の足跡から見る、過去、歴史、記憶、思い出。
「 日 記 」
「 アラベスク 」