2022 8/15

 

  

      敗 戦

      

         その年も、暑い夏だったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

                「 夏 」

 

 

    みかさんの描く女性は、面長で目を閉じているものが多いです。

   考える女(人)、のような姿勢です。ロダンよりも難しい腕の形です。

                きれいな緑色が目につきます。あまりない色ですね。

 

            水玉模様が周りを舞い、髪にも。

 

      テーブルのグラスは、ロングドリンクですね。

          麦茶でも構いませんが。

 

 

 

 

 

 

 

                「 空 」

 

 

 

 

                「 世 界 」

 

 

   対の作品です。空の形と、下の女性の腕の組み方、顔の向きが違います。

    それぞれ、うまく対応されています。

        「空」には雨粒のようなエンボスが見えます。

 

    敬虔な思いが感じられ、シンプルな絵柄ですが、深い感動が得られます。

     祈りを捧げる、本来の宗教的という意味が自然に表出しています。

 

 

 

 

 

 

 

                                         「 あの夏の記憶 」

 

 

   グラスの中に、海辺にいる女性が。顔立ちはいつもの女性とは違います。

           空にはカモメが舞っています。

 

           グラスの柄の中に、女性の腕が混然として溶け込み

                    ヒトデなど、海底の景色と一体となっています。

        グラスの底からシャンパンの泡が立ち上っています。

 

       海底の光景がみかさんらしく、独特な美しさがあります。

 

     みかさんの作品には、記憶、思い出を感じさせるものが多いですね。

 

         昭和20年の夏の記憶とは違います。

 

 

 

 

 

 

              「みかさんの鳥たち」

 

 

               「 航 海 す る 」

 

 

         みかさんは作品の中で、鳥を沢山描きます。

         ここの鳥たちはよく描かれる形のものです。

   と言っても、動きのある、動的な鳥たちと、静的なものがあります。

 

     ここの二つ「航海する」と「忘却へ」は、対の作品ですが、

   並べて掛けることによって、更にその動きが広がって見えることがわかります。

 

    どちらもエンボスで、絵の中に小人が舟を漕ぐ姿が描かれています。

       エルフのようです。

 

 

 

                「 忘 却 へ 」

 

 

    ジェット戦闘機のような、力強さを感じます。動的な表現の代表です。

 

 

    絵の中には、二つの作品とも、舟を漕ぐ小人がエンボスされています。

 

           鳥の中にはいつも通り、別な絵柄が描かれています。

       植物でしょうが、なんだか箒のような形態のものも。

 

    航海、と忘却というタイトルは他の作品でも使われています。

     みかさんにとってある思いをよぶ言葉なのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

            「 セカンド メッセージ 」

 

 

   鳥の中には植物の葉の絵柄が見えますが、これは上掲の「航海する」「忘却へ」

      と違い、動きのない、静的な鳥です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「 忘却の間を航海する 」

 

 

 

 バオバブのような木が見られる中に、大きな川が流れ、大きな魚の姿も見えます。

   ラクダも歩き、エジプト、ユーフラテス、のようなイメージが湧いてきます。

 

     「忘却の間を航海する」というタイトルは、みかさんの鳥たち の

   「航海する」、「忘却へ」、というタイトルと関連しているのでしょうか。

     「航海する」、「忘却へ」の二つの作品は、対のもので、

       並べて掛けるようになっています。

  ですから、みかさんの中では、「忘却の間を航海する」、というタイトルの作品と

      同じ意味合いを持っていることが感じられますし、

        この言葉にはある思いが込められているように見えます。

 

       航海は、舟のイメージ、人生とまさに重なるものです。

        忘却も、人生の流れの一部を形作っているものです。

         なくてはならないものとも言えます。 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 海の精たち 」

 

 

     真ん中の女性の左右にも、うっすらと二人の女性の姿が見えます。

      腕の組み方は、「空」、「世界」の女性を思わせます。

 

           青い深い海の中の、海の精たち。

 

       マットの色も上手く組み合わされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

            「 セ ミ (  蝉  )」

 

 

           蝉が止まった木の前に立つ女性。

 

     最初、男性かと思っていましたが、お下げ髪が右肩に見えます。

       前髪も女性のものですし、上着の襟元もそうですね。

 

         私の勘違いでした。夏の帽子を被っています。

 

       目を閉じていますが、祈っているわけではなさそうです。

          何も考えていない。無心の境地です。

           木の幹の質感もいい感じです。

 

   セミから思い出すのは、マルセル パニョルの「少年時代」を原作とする

    イヴ・ロベール監督の映画 「マルセルの夏」「マルセルのお城」です。

          映画、小説ともにいいものです。

 

       木に止まっている蝉は、鳴いているのでしょうか。

 

 

 

 

2022 8/14

 

 

        台 風 一 過

 

 

 

 

 

 

               「 木 の 女 神 」

 

     

                みかさんには、木彫の作品もあります。

 

        アフリカの民芸品を思わせる感じですが、穏やかで優しい女神です。

 

 

 

 

 

 

 

              「 タ ン ゴ  II 」

 

             

                ブロンズ像です。

 

         みかさんのブロンズ像も素敵です。

 

      アルゼンチンタンゴバンドネオンを演奏している男性、

           目を瞑り上を見て音楽に入り込んでいます。

 

         アストル ピアソラ の曲でしょうか。

 

 

 

 

 

 

             

                「 眠 り 」

 

 

           みかさんが時々作るブロンズ像です。この眠りの形に似ている

                  「眠り」という同じタイトルの版画もあります。 

         方向が違い、手で顔をおおっていますが。

 

             「眠るひと」 もブロンズ像と同じですね。

           腕に頭をあずけて眠っています。

 

  ブロンズ像は玄関に置いてあり、いつも、出かける時に、頭を撫でています。

 

 

                         「 眠 り 」

 

 

 

                                 「 眠  る  ひ  と 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         「 別れの中の出会い (  2つの頭部  ) 」

 

 

                 二つのブロンズの頭部は、自由に位置を変えられます。

 

        向かい合い、二人が出会うこともできますし、

       逆を向いて出会いを拒絶することもできます。

     毎日、好き勝手に楽しみながら、頭部の位置を変えています。

        二つが正面を向くようにすることもよくやります。

 

         台の木も面白いです。裂け目が入っており、古いものです。

     台の上には古い釘が何本か打ってあり、作品の一部になっています。

         表面にはみかさんの文字が書かれていますが、内容はわかりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 Germerion 」

 

 

 

        エンボスで表現された、変わった形をした人間の中に、

          円環のように生物が並んだ絵があります。丁度、胃の辺りの位置です。

 

  イルカ、謎の生物、象、ブタ、二頭の猿。皆、目を閉じて気持ち良さそうです。

 

       この絵を見て、連想したのは、エルンスト ヘッケルの、

              「個体発生は系統発生を繰り返す」という有名な言葉です。

                  学問の世界にしては夢のある言葉です。

    直接、この絵と繋がるとは言えませんが、そんな印象を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               「 空の橋 」

 

 

     「空の橋」 は虹のことですね。みかさんの言葉です。

 

       アメリカの古いミュージカル映画では、

     階段のように、虹の橋を登っていく光景が見られることがあります。

 

             英語の  rainbow、ドイツ語の Regenbogen は同じ意味です。

             雨と弓(アーチ)という言葉からできています。

              フランス語の虹は arc-en-ciel   で空のアーチですね。

        みかさんの、空の橋に似ています。

 

            スペイン語を調べて見ると、虹は、arco iris  でした。

         arcoはアーチで、iris は虹の女神です。

 

           虹の中にいる人間が面白いですね。 オシツオサレツのように繋がり、

      ちょっとムンクのような雰囲気もあります。

         何だか試験管の中にいる人のように見えてしまいます。

 

      でも、突然気がつきましたが、だまし絵のようで、左右の人が

       伸ばした両手を合わせているようにも見えてきました。

        指を合わせている所を、細胞間隙のように見ていましたが

          大きな勘違いをしてしまいました。

 

         いやはや。(みかさんの得意のセリフです)    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 パンドラの箱 」

 

 

       みかさんの作品のパターンの一つとして、

                              このように軽妙な楽しいものがあります。

 

  コーヒーカップに描かれたドン・キホーテサンチョ・パンサもありますし

   ハイヒールの形の中にフラメンコダンサーが見えるものもあります。

 

           木の趣がする青いフレームが、マットの青と相まっていい雰囲気です。

      大航海時代のような絵、紋様が描かれた小さな箱です。

 

      星、月が輝く空の下、パンドラの箱から飛び出すのは、

          悪、災いではなく、魚です。

 

       箱の中に残っているのは、小蟹かなんかでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 イタカ II   」 

 

 

           大きな波打つ海に小さな帆船が。

 

 イタカはラブクラフトク・リトル・リトル神話に関係したものでしょうか。

  風に乗りて歩むもの、とも呼ばれていますから、この絵にふさわしいです。

 

    ドリームキャッチャーに出てきたオジブワ族のインディアンとも

        関連しているようです。

 

     この絵の形は、「みずがめ座」、「キュクロープス」にも

        つながるようです。

 

 

 

 

 

                 「 家と花 」

 

 

                「 鳥かごと木 」

 

   立体のシリーズです。色々な形の木の台に、金属で作った作品が乗っています。

 

 

 

               「 立 体 」

 

 

     これは最初に持ってきたもの。特別なタイトルはついていません。

 





 

 

 

2022 8/13

 

 

         荒れた波、雨のお盆。

 

 

 

                

               「 旅  程 」

 

 

  みかさんの別の作品、「三人の使者」と同じ形式のモノクロームの作品です。

 

 基本的には山型のような形態の中に風景が描かれています。山並みの絵の中には

     馬、オオカミのような姿が見えます。

 

   「三人の使者」と同じように、綺麗な黒のフレームにうまく合っています。

 

 

 

 

 

 

                「 三人の使者 」

 

 

              絵の中には羊の群れが。

 

   博士、賢人ではありませんが、三人というと、キリスト降誕を思い出します。

 

                                     stray   sheep

 

 

     古い西洋の本の挿絵のようで、落ち着いた美しさを感じさせます。

 

  モノクローム(単色)というと、何だか黒と白との区別しかないように思いますが、

       そうではありません。黒も白も、その中に光のグラデーションがあり、 

          豊かな表現がなされています。

 

  カラーの作品は一見多様な表現力があるようで、むしろ不自由なものとも言えます。

   モノクロームの方が、見る側で受け取り方を強制されず、

        自由な感受性を発揮できるように思えます。

 

                      ものであふれている現代が決して自由ではなく、

     何もなかった我々の子供時代が、必ずしも不自由ではなかったように。

 

     松本幸治さんの写真も同じです。フィルムで撮ったモノクローム

    画像はまさに光で描かれた絵です。これが photograph です。

 

       

 

 

 

 

 

 

                                  「 春  の  夢 」  

 

                                    ドリームキャッチャーのシリーズ

 

 ドリームキャッチャーアメリカインディアンのオジブワ族の作る装飾品とのこと。

 

    お盆のような形です。上から吊り下げられるようになっています。

 

    風鈴のように。 スペインの展覧会でも、このまま吊り下げてありました。

   台紙の形、エンボスは皆同じで、下にそれぞれ異なる飾りがぶら下がっています。

 

    ドリームキャッチャーも、柳の枝を使って丸い形になっており

      下に装飾品がぶら下がっているようです。

 

                    

   みかさんの描く、得意の鳥の形です。春の風に乗って綺麗に泳いでいます。

     鳥の中には、小さな鳥たちが見えます。植物の葉も。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   「 青  い  夢 」

 

 

      「青い夢」は素敵です。形、色合いともに決まっています。

 

      フレームの紋様は鰐皮を少し意識したものです。

    尻尾も面白いです。犬のようですが、こうでないと絵が決まりません。

 

      ワニを描いた作品は沢山あります。みかさんがワニを好きなのか、

           それとも、ワニを描くのが好きなのか、知りません。

 

         ワニの歩みは確かです

 

    自分がワニであり、ワニでしかないことを全く疑っていません。

      自意識という人間の宿痾とは無縁です。

   自分探しの旅、などということは考えたこともない、確かな歩みです。

 

                やれやれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

               「 密 会 」

 

 

            このワニも面白いですね。

      目つきからして、いかにもワニらしい図太さが漂っています

 

           月が池に映っているようです。

 

 

   密会というタイトルが笑わせます。どちらがメスでどちらがオスでしょうか。

        別に雌雄でなくても構いませんが。

 

         それとも悪だくみの密会でしょうか。

 

             「 有形屋お主も悪じゃのう。」

       「 いえいえ、黒粉平のお代官様、貴方様にはかないませぬ。」

           なんてことを言っているのでしょうか。

 

       やはり、密かな二人の出会いのように思います。

    フレームも洒落ています。ヴェルサイユ風と適当に名づけました。

 

 

 

 

 

 

 

  

              「 眠  る  ひ  と 」

 

 

             海辺のテーブルに顔をあずけて、女性が眠っています。

 

 テーブルの上にグラスが一つ。でも、お酒に酔って眠っているわけではなさそうです。

   海の前で静かに眠っています。夕暮れでしょうか。これも定かではありません。

     目覚める時があるのでしょうか。

 

         少し、神話の世界のようです。

海辺のテーブルに顔をあずけて、女性が眠っています。
 テーブルの上にはグラスが一つ。でも、お酒に酔って眠っているわけではなさそう

 

 

 

 

 

 

              「 バ コ の 秘 密 」

 

 

       これもエンゼルです。ワインを作っています。

        それとも、葡萄を食べているだけかしら。

        ふくよかで、小さな羽根のエンゼルです。

 

  ボトルの中の窓は、外の葡萄畑からの風に吹かれてカーテンがひらめいています。

       

       スペイン語のBaco(バコ)はバッカスですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 象 の 記 憶 」    

                ドリームキャッチャー

 

 

  小さな舟に、大きな象が乗っています。汽船のように鼻から煙を噴き上げています。

 象の中にいるのは、小さなボートを漕ぐポリネシアか南米の人のようです。

 

     ちょっとオモチャのような可愛いフレームに合わせました。

 

 

 

 

 

               「 ソーラー 」

 

       

                        最近の小品です。

 

        「象の記憶」 のヴァリエーションです。

        黒は珍しいですが、なかなかいいものです。

 

 

 

2022 8/12

 

 

 

        台風接近のお盆、天候不安定です。

 

 

 

 

 

              「 ロ ス  エクスジョ より 」

 

 

 

      ページワンで初めて見た、むらかみ みかさんの作品です。

       ロス エクスジョがどこにあるのか知りませんが

        カモメが飛んでいる、海辺の町でしょう。

 

    下方に茶色の山のような形があり、画面全体に大きくエンボスされたカモメ

       空を舞う小さなかもめたちが描かれています。

 

    版画とエンボスという組み合わせを初めて見て、惹きつけられました。

    派手な雰囲気は全くないのですが、何度か絵を見るために通いました。

 

       

 

 

 

 

 

 

 

                                     「 昼 と 夜 の 間 で 」

 

 

 

         通称、カバの絵です。人気の作品です。

 

      みかさん得意の表現、絵の中に別な世界が広がっています。

 

                 カバの中には、小鳥が何羽も隠れています。

            カバの目も面白いですね。

 

          仁王像や狛犬のように、門衛のように立っています。

             もっとも、阿吽ではなく、両方とも大きな口を開けています。

             元気なカバです。

 

                   口から綺麗な花びらが吹き出しているようです。 

 

       白くて素朴な感じのフレームも良くあっています。

    庭にある、素人がペンキを塗った木の椅子のような雰囲気が好きです。

 

  

 

 

 

 

 

             

                                            「 旅のおくりもの 」

 

 

                      ルネ  マグリット の世界を思い出します。

                  「大家族」とも「光の帝国」とも違いますけど。

 

       マグリットの絵の一番の特徴は、音のないことでしょう。

             静かということではなく、音が無い世界。

 

         そう言えば、マグリットのアトリエは

        絵の具のしみ一つないと聞いたことがあります。

 

                           白樺のようなフレームも洒落ています。  

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 蝶  の  旅 」   

                 ドリームキャッチャーのシリーズ

 

 ドリームキャッチャーは、アメリカインディアンのオジブワ族の作る装飾品とのこと。

 

 

    おもちゃの飛行機のようです。ゴムの動力で飛ぶのかもしれませんが、

       全然飛んでる気配はありません。 中の蝶々が動力でしょうか。

 

       飛行機の周りにも、影のような蝶が舞っています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                             「 水面を通して 」

 

 

                     ニコニコとした魚ですね。

       水面を通して見える魚たち。色合いが素敵です。

 

 

 

 

 

 

 

 

             「 星 泥 棒 」   

                 ドリームキャッチャー

 

 

             星泥棒というタイトルがいいですね。

 

      聞かん坊が、空に貼られた、銀紙の星を獲ろうとしています。

 

          メアリーポピンズとコリーおばさんが空に貼った

         ジンジャークッキーについていた星のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      「 雪  の  涙 」 

                              ドリームキャッチャー

 

 

         平安時代のような、和風の雰囲気です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          「 森  の  中 」

 

 

            何だか等伯の松林図屏風を思い起こします。

 

     日本画、墨絵のような雰囲気がありますが、トナカイがいます。

                月も出ていますね。

     

        北欧と日本のハイブリッドでしょうか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                               「 追 憶 」

 

 

   みかさんの住んでいる、グラナダの、アルハンブラアランブラ)宮殿です。

 

       窓が手前に開く扉の後ろに、色々な作品を組み合わせるようになっています。

                   聖ジョージと龍、のようなものもあります。

 

   立体的な作品にあわせ、フレームも奥行きがあります。金属を思わせる質感は

     中世の騎士の鎧のようで気に入っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               「 山 と 雲 」

 

 

        モノクロームでシンプルですが、洒落ています。

              山脈と海。

 

      全体の構図は、「星の王子様」のヘビの形のようでもあります。

 

          黒いマットも効いています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「 インファント島 」

 

 

    インファントは乳児、幼児という意味ですが、絵の中にはゴジラのような

     恐竜がいます。荒れ果てた山塊を歩いています。

 

            地球の幼年期でしょうか。

 

 

 

 

 

             「 インファント島 II   」

 

 

           こちらは、ゴジラモスラですね。

 

 

 

 

 

2022 8/11

 

 

 

 

      「 空が泣き、鳥が静み、森の葉々が輝き、大地が微笑む 」

 

 

          大きな作品です。絵の大きさには意味があります。

 

        長編小説と短編小説と同じです。

    作家の意図によって、必要とする原稿枚数が違ってきます。

 

         絵も、描こうとする世界の内容から、自然にその大きさが決まります。  

 

   3色のバージョンがあります。舟は、みかさんがよく描く対象です。

 

          舟の中には、炭化したような木々があり、鳥が舞っています。

           鳥も爽やかな感じのものではありません。

 

  舟の周りには、水滴が垂れています。空が泣いた涙、ということは雨粒です。

       雨、涙の水の中に浮かんでいる舟です。

 

     シンプルな構成ですが、色々な思いを感じさせられます。

 

     みかさんの作品のタイトルとしては一番長いものでしょう。

                      少し変わった言葉遣いです。

 

      タイトルから考えると動きのない、死のような世界から、

        再生の希望を託しているようにも思えます。

 

       タイトルも、作品を理解する上で重要です。

        全て作品と関連があるとは言えませんが

       作者の思いを想像できる唯一の手がかりです。

 

     舟は常に留まらずに水とともに流れゆく、人生の象徴でしょうか。

 

         方丈記のように。

 

       「 ゆく川のながれはたえずして、しかももとの水にあらず 」

 

        舟の中の絵は、佐々木マキを思わせますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              「 波 の 戯 れ 」

 

    

      これも大きなものです。絵も対象も。堂々たる作品です。

 

       フレームも海、貝殻をイメージした立派なものです。

 

   鯨の中に見える船は、ギリシャ、コリントと言った言葉を想起させます。

              尾の中には、マグロのような大きな魚の顔が見えます。

 

  絵だけでなく、適切なフレームと組み合わせることによって、作品は完成します。

       どの世界も、自分一人だけでは生きられません。

 

         絵が100%だと思っていると大間違いです。 

                                シテとワキ

 

  勝手に主従のように思い込んでいても、実際にはそんな関係ではないのです。

   触媒という言葉があります。化学用語ですが、人間社会にも通じます。

 

   色即是空のように、世の中は関連の世界として在るということでしょうか。



 

 

 

 

 

 

 

 

            「 マグノリア ロマンス 」

 

 

  恐竜をモチーフとして描いた作品は沢山あります。中でも一番のお気に入りです。

    一目見て、すぐ手に入れました。大きな作品です。

 

      magnolia はモクレン、泰山木、の仲間と辞書にはあります。

 

    ここでは、ちぎられた色紙が、葉、花びらのように表現されています。

   マグノリアは春、初夏の花木です。でも、恐竜 T-rex のまわりを流れているのは

     落ち葉のように見え、なんとなく秋を思ってしまいます。

 

        後ろを振り返って不安気に見つめる目は、

   恐竜の滅亡の時代に至る予感を感じさせる、と言ったら言い過ぎでしょうか。

 

  ディズニー映画の「ファンタジア」では、ストラヴィンスキーの「春の祭典

  を背景音楽として、恐竜時代を描いています。中でも、ブロントザウルスが

   長い首を持ち上げて、後ろを不審気に眺める姿が印象に残っています。

        同じような雰囲気を感じてしまいます。

 

   T-rex は暴君龍と呼ばれていますが、この絵からは儚さが感じられます。

      暴力によって自らの弱さを隠すことはできません。

 

    家の中では威張っている父親が、自分の内実の弱さを隠せないように。

  

    みかさんの表現する、動物の目は独特です。この恐竜に限りませんが。

       見ていると目の中に引き込まれそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 詩 節 」

 

 

             3頭の親子のロバが歩いています。

      対称的で、上下の世界に分かれたクルミの中です。

 

              上下の世界は違います。

 

    夏と冬、陽光と夕暮れ、あるいは表と裏の世界。夢と現かもしれません。 

 

      上の世界では、木々の葉も茂っていて、鳥も楽しげに飛んでいます。

   下の世界では木は枯れ果て、地面もでこぼことして、霜柱のように見えます。

      鳥の姿も見えません。

        ロバもよく見ると、同じではありません。

            3頭目の子ロバは、

       下の絵では、逆らっているように、いなないています。

 

     自分だけは周りとは一緒にならないぞと言っているのでしょうか。

 

     スペインのロバの話というと、フアン・ラモーン・ヒメネス

        「プラテーロと私」を思い出します。

      優しくて、ゆったりした話だったと記憶しています。

 

      ロバの親は父親でしょうか、それとも母親でしょうか。

 

           私はロバの雌雄を弁じませんが、

    自分が父親であることから推し量ると、どうも母親のように思います。

       子供を引き連れて歩くのは、やはり母親でしょう。

         そうでなくては、子供達も安心できません。

 

         3頭とも目を閉じて、穏やかな表情です。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                     「 詩 人 」

 

             

    羊の頭骨の中の世界、親子のオオカミが歩く荒涼とした自然です。

        遠くの山並と、空を飛ぶ鷲のような鳥たち。

 

      一角獣の頭骨を読む、夢読みの世界。

 

      「   世界の終わり と ハードボイルド ワンダーランド  」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「 音  楽  隊 」

 

         

              ブレーメンの音楽隊。

 

           ピカソか、はたまた、赤塚不二夫

 

     以前、ピカソの展覧会に行った時、そばにいた妻に、赤塚不二夫だねと言ったら

    その後、どれを見ても赤塚不二夫にしか見えなくなったと怒られました。

 

 

 

 

 

 

                                          

           

                                      「 星 」

 

 

            本当に小さな作品です。

 

          これもブレーメンの音楽隊ですね。

 

       力持ちのウサギの肩にはワニが。星を取ろうとしています。

     でも、帽子にみんなを乗せている、みかさんが一番力持ちです。

 

          ワニも好きなモチーフの一つですね。

 

 

 

 

 

 

 

2022 8/10  みかさん

 

                お盆休み。

 

                  来る同級生がみんな年寄りばかり。   

 

 

 

「 むらかみ みか 」 さんの絵を眺めてください。少しずつあげていきます。

    綺麗な写真とは言えませんが、ご容赦ください。

 

 

 

 

 

                                    「 ピ ラ ー ル  女 神 」

 

 

     ドライリーフが絵の上方にあります。作品によって絵の色が違い、紙質も変わり

      貼られているドライリーフも異なります。同じものはありません。

 

                 女神はもちろん、聖母マリアです。  

 

     ピラールという言葉は、聖母マリアが、柱(ピラール)の上に現れたという

         スペイン、サラゴサの伝承から。

 

              聖母マリアとイエス 

 

    みかさんの作品に描かれる女性のパターンは、面長で、

            目を閉じていることが多いのですが、

        それとは異なり、目を開け端正な雰囲気です。

 

    聖母マリアですから当然でしょうか。イエスは面白い顔立ちです。

   髪の毛もカールをしています。聖母子像は有名な作品がいくつもありますが

   どれも、イエスは立派な顔立ちで、髪もふさふさしています。神の子ですから

    当たり前でしょうか。

 

 

     

       この間たまたま、古いアルバムの写真を見ていたら

       赤ん坊を抱いてお風呂に入れている妻の写真があり、

       子供の顔が、この絵のイエスに似ていたのでびっくりしました。

     

      もちろん、妻はマリア様ではありませんし、息子もイエスとは

         似てもにつかぬ人間ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

             

               「 海 の 振 動 」

 

 

     大きなウミガメが大海を泳ぐ様を、海の振動という、大ぶりな言葉で

                的確に表現しています。

 

        フレームは大きな作品の割には細いものです。

       青海波のような雰囲気で気に入っています。   

 

 

       

         ウミガメの周りにエンボスで波紋が描かれています。

            カメの中には三匹の金魚が。

 

 

   みかさんの作品の特徴は、モチーフの形の中に、別な世界が描かれていることです。

             ウミガメの形態は、その世界へ通じる窓になっています。

 

     我々はそこからもう一つの世界を、覗き込んでいる気持ちになります。

 

         アリスが落ちた穴の中の世界です。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            「 風をつくるもの 」

 

         風をつく

 

     みかさんの描く天使は、伝統的で、ふくよかなエンゼルです。

      でも羽根が小さいですね、これで飛べるのかしら。

    ピアノを弾く手も小さくて、オクターブは届きそうにもありません。 

 

    風の動きを、ちぎった色紙で、流れる葉、花びらのように、表現しています。

         みかさん得意のやり方です。

 

         その風に、エンゼルが気持ち良さげに乗っています。

 

 

 

 

 

 

 

   

                「 ソ ナ タ 」

 

 

         楽器をモチーフにしたシリーズの一つです。

 

     ピアノの鍵盤も藤色で、伸びる葉と相俟って和風の雰囲気です。

 

        エンボスには蜘蛛の姿も。

 

 

 

 

 

 

 

                                  「 秋 」

 

 

               秋思。 枯れ葉が舞っています。

 

   こういう女性のパターンも、みかさんの作品の一つの形です。

      この女性は目を開いていますね。

 

     ここでは、このパターンの作品を多くは取り上げていませんが

           現代的、現実的、と言えるような一連の作品も

      みかさんは作っています。

 

       この作品は雰囲気もよく、綺麗な色合いです。

     洋服の襟元の形は、そう言えば、みかさんの好みですね。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

               「 農 場 」

 

 

     小品です。三角形の構図で、上に屋根を置いてバランスをとっています。

 

          孔雀がいるのがすごいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

               「 帰 還 」

 

      

        上の「農場」と同じタイプの小品です。

 

    帰還というと少し大袈裟な言葉ですね。宇宙飛行士の地球への帰還、

        勇者の帰還といった感覚の言葉使いです。

 

        ホメロスオデュッセウスの帰還のように。

 

   絵では、車で帰宅した夫が、妻と犬の出迎えを受けています。優しい家庭ですね。

 

   みかさんは、スペインで長いこと日本語を喋っていないので、帰国して時々

     面白い言葉使いをすることがあります。

     簡単な言葉が出てこず、漢語を使うことが良くあります。

       これも帰還ではなく、帰宅かもしれません。

         それとも長い不在の後でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

                        「 窓  辺  で 」

 

 

         みかさんのお気に入りの作品です。

 

       グラスを前に置いた子供は何を思っているのでしょう。

      

        窓の外の世界には、何が見えているのでしょうか。

     いつもとは逆に、向こうの世界から、我々の世界を見られているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              「 C A S A   」

 

 

                                       小品です。

       いつもの女性と違い、丸顔です。窓から外へ顔を出しています。

 

      カーテンが風で翻る、小さな煉瓦作りの家です。庭には鳥の家族と花が。

 

         CASAですから家ですね。カサブランカではなく

         カーサロッソでしょうか。適当ですが。

 

 

 

 

 

2022 8/8

 

 

   何だか、わけわからん日々が続いています。暑い夏の日と、コロナ騒動のおかげです。

 

       でも、今の世の中の真実、世界の出鱈目さ、人間の愚かさを露わにしてくれた

      コロナウイルスは、神の使い、仏の教えでしょう。

 

       戦争のない平和な時代を過ごしてきた、我々の世代への鉄槌のようです。

 

 

 

 

 

                   

           松本幸治さんの写真。  スコットランド

 

 

 

 

 

 

 

               「 poeta 」

 

      詩人ではなく、俳人ですが。  枝の小鳥は元気です。アサーっ! ですか。

            野点でもいいですね。

 

 

 

 

                「 doctor   」

 

           まあ、仕方がない。