荒れた波、雨のお盆。
「 旅 程 」
みかさんの別の作品、「三人の使者」と同じ形式のモノクロームの作品です。
基本的には山型のような形態の中に風景が描かれています。山並みの絵の中には
馬、オオカミのような姿が見えます。
「三人の使者」と同じように、綺麗な黒のフレームにうまく合っています。
「 三人の使者 」
絵の中には羊の群れが。
博士、賢人ではありませんが、三人というと、キリスト降誕を思い出します。
stray sheep
古い西洋の本の挿絵のようで、落ち着いた美しさを感じさせます。
モノクローム(単色)というと、何だか黒と白との区別しかないように思いますが、
そうではありません。黒も白も、その中に光のグラデーションがあり、
豊かな表現がなされています。
カラーの作品は一見多様な表現力があるようで、むしろ不自由なものとも言えます。
モノクロームの方が、見る側で受け取り方を強制されず、
自由な感受性を発揮できるように思えます。
ものであふれている現代が決して自由ではなく、
何もなかった我々の子供時代が、必ずしも不自由ではなかったように。
松本幸治さんの写真も同じです。フィルムで撮ったモノクロームの
画像はまさに光で描かれた絵です。これが photograph です。
「 春 の 夢 」
ドリームキャッチャーのシリーズ
ドリームキャッチャーはアメリカインディアンのオジブワ族の作る装飾品とのこと。
お盆のような形です。上から吊り下げられるようになっています。
風鈴のように。 スペインの展覧会でも、このまま吊り下げてありました。
台紙の形、エンボスは皆同じで、下にそれぞれ異なる飾りがぶら下がっています。
ドリームキャッチャーも、柳の枝を使って丸い形になっており
下に装飾品がぶら下がっているようです。
みかさんの描く、得意の鳥の形です。春の風に乗って綺麗に泳いでいます。
鳥の中には、小さな鳥たちが見えます。植物の葉も。
「 青 い 夢 」
「青い夢」は素敵です。形、色合いともに決まっています。
フレームの紋様は鰐皮を少し意識したものです。
尻尾も面白いです。犬のようですが、こうでないと絵が決まりません。
ワニを描いた作品は沢山あります。みかさんがワニを好きなのか、
それとも、ワニを描くのが好きなのか、知りません。
ワニの歩みは確かです
自分がワニであり、ワニでしかないことを全く疑っていません。
自意識という人間の宿痾とは無縁です。
自分探しの旅、などということは考えたこともない、確かな歩みです。
やれやれ。
「 密 会 」
このワニも面白いですね。
目つきからして、いかにもワニらしい図太さが漂っています
月が池に映っているようです。
密会というタイトルが笑わせます。どちらがメスでどちらがオスでしょうか。
別に雌雄でなくても構いませんが。
それとも悪だくみの密会でしょうか。
「 有形屋お主も悪じゃのう。」
「 いえいえ、黒粉平のお代官様、貴方様にはかないませぬ。」
なんてことを言っているのでしょうか。
やはり、密かな二人の出会いのように思います。
フレームも洒落ています。ヴェルサイユ風と適当に名づけました。
「 眠 る ひ と 」
海辺のテーブルに顔をあずけて、女性が眠っています。
テーブルの上にグラスが一つ。でも、お酒に酔って眠っているわけではなさそうです。
海の前で静かに眠っています。夕暮れでしょうか。これも定かではありません。
目覚める時があるのでしょうか。
少し、神話の世界のようです。
海辺のテーブルに顔をあずけて、女性が眠っています。
テーブルの上にはグラスが一つ。でも、お酒に酔って眠っているわけではなさそう
。目
「 バ コ の 秘 密 」
これもエンゼルです。ワインを作っています。
それとも、葡萄を食べているだけかしら。
ふくよかで、小さな羽根のエンゼルです。
ボトルの中の窓は、外の葡萄畑からの風に吹かれてカーテンがひらめいています。
「 象 の 記 憶 」
小さな舟に、大きな象が乗っています。汽船のように鼻から煙を噴き上げています。
象の中にいるのは、小さなボートを漕ぐポリネシアか南米の人のようです。
ちょっとオモチャのような可愛いフレームに合わせました。
「 ソーラー 」
最近の小品です。
「象の記憶」 のヴァリエーションです。
黒は珍しいですが、なかなかいいものです。